2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポストコンフリクト社会のスポーツの発展に関する研究
Project/Area Number |
20700496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 千あき Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (40335401)
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Keywords | ポストコンフリクト / スポーツを通じた開発 / スポーツと開発 / スポーツと平和 / 内発性 / コミュニティ開発 / カンボジア |
Research Abstract |
ポストコンフリクト(紛争後)期の国・地域で実施されているスポーツ活動について、活動開始の経緯、活動の内容、活動の成果を検証した。紛争後の社会の混乱期に実施された「地域住民による自発的なスポーツ活動」の詳細を考察することにより、この時期のスポーツに期待された役割を明らかにすることが本研究の目的であった。検証の事例としてカンボジアで実施されているシェムリアップホテルフットボールリーグ(Siem Reap Hotel Football League : SHFL)を取り上げた。 関連先行研究を参考に分析モデルを構築し、形成段階、実施段階、形成段階に分割したモデルに沿って複数回の現地調査を実施した。形成段階の評価では、「コミュニティ型スポーツクラブの形成過程モデル」に依拠し、活動が形成され発展する過程を7段階に分けて分析した。その結果、「SHFLの関係者が認識した課題」への対応策としてスポーツを活用した様子が浮かび上がった。実施段階の評価では、SHFLが有した3つの問題事例について、問題が生じた背景とSHFLによってなされた対処の検証から、SHFL自体が持つ理想や将来像を読み取った。成果段階の評価では、全登録選手に対して質問紙調査を行い、90.8%と高い有効回答率を得た。調査の結果から、選手としで活動に参加する度合いが高い者ほど、SHFLが定めた目標である「生活満足度」、「自信」、「グループの凝集性」、「コミュニティ・モラール」の4要因が高いことが明らかになった。 これらの現地調査の結果から、「開発手段としてのスポーツに期待された役割は、内発性を引き出すことである」という結論を得た。内発性は、正に開発途上国の社会開発、人間開発の議論の中心になりつつある概念であり、人々の内発性が引き出され、適切なエンパワメントがなされることが、開発分野に求められている課題でもある。
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Research Products
(5 results)