2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおけるメディア・スポーツ文化に関する研究
Project/Area Number |
20700507
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
溝口 紀子 Shizuoka University of Art and Culture, 文化政策学部・国際文化学科, 講師 (40343727)
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Keywords | メディア / スポーツ / フランス / ユニバーサル・アクセス権 |
Research Abstract |
初年度は、フランスのメディア・スポーツ、スポーツ・ジャーナリズムにおれる社会的背景や歴史的変遷を調査するために、現地フランスにて、平成20年9月3日-24日フランス研修(パリ・ボルドー)を行いメディア・スポーツの研究の収集を行った。パリでは、レキップ新聞社、ユーロスポーツ社を訪問し、インタビュー調査おこないフランスのメディア・スポーツの概要を明らかにした。また、次年度に開催する、メディア・スポーツシンポジウムのフランス人パネリストとしてレキップ社、ユーロスポーツ社の編集長、ディレクターに交渉を行った。さらにボルドーにおいて、ボルドー大学教授ミシェル・ブルース教授と研究会を開催した。とくにブルース教授は当時、国際柔道連盟メディア担当であり、「メディア・スポーツ化する柔道の変容」について意見交換をおこなった。現地調査で明らかになったことは、特にスポーツ日刊紙レキップ紙(L' Equipe)と衛星テレビ放送ユーロスポーツ(Eurosport)においてはグローバル化が進む一方で、デジタル化によりメディアの変革が推し進められていた。フランスのスポーツメディアはデジタル化により新聞市場は減少し、インターネットサイトによる市場が拡大され、有料コンテンツなどの開発を推し進められていた。またメディア・スポーツの公共性については、1992年1月、フランスのスポーツとテレビ委員会(La Commission Sport et Television)は、国民の情報への権利とテレビ局の独占放送権との調整を目的とした紳士協定に基づいて、「スポーツ競技の放送に関する紳士協定」を4原則にまとめ、スポーツの独占的な放映権のあり方に一定程度枠を設けているが、現実のフランスのスポーツ市場では、スポーツ放映権料の高騰によりスポーツと放送の健全な発展が脅かされる事態が生じており、スポーツ自体が持つ公共性やグローバル化の中で意識されてきたユニバーサル・アクセス権などの公共論問題は影を潜めていた。これらの成果は、静岡文化芸術大学紀要2008第9巻に論文を掲載し、スポーツ社会学会(関西大学2009年3見)にて発表をおこなった。平成21年度では、メディア・スポーツシンポジウムを開催し、日本、フランスのメディア関係者をパネリストとして招き、グローバル化するメディア・スポーツのアイデンティティの再構築について検討していきたい。
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Research Products
(2 results)