2009 Fiscal Year Annual Research Report
知覚-運動スキル学習への加齢の影響に対して有効なフィードバック情報の提示方法
Project/Area Number |
20700512
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
田島 誠 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療技術学部, 准教授 (70330644)
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Keywords | 漸減要約フィードバック / 結果の知識(KR) / 遅延提示 / フィードバック依存性 |
Research Abstract |
平成20年度の研究では、「漸減要約フィードバック」の高い学習効果の原因を同定するために、要約提示される結果の知識(KR)の情報の質に焦点を当て、学習者自身によるKRの選択・非選択条件を設定したが、条件間に差を見出せなかった。 そこで、平成21年度の研究では、漸減要約フィードバックにおけるKRの提示のタイミングに着目した。つまり、漸減的に要約提示されるKRの中には早いタイミング(即時).で提示されるKRもあれば、遅いタイミング(遅廷)で提示されるKRもあり、そのタイミングの違いによって学習効果が異なると仮説を立てた。この仮説を立証するために、漸減要約フィードバックのスケジュールにおいて要約提示されるKEのタイミングをパラメータとして.遅延0条件と遅延短条件、および遅延長条件を設定し、その学習効果を条件間で比較した遅延0条件はKR提示の直前の試行のKRを提示し、これは漸減的フィニドバックに相当する。これに対し、遅延短条件はKR提示から中程度離れた試行のKRを、遅延長条件は最も離れた試行のKRをそれぞれ1試行分提示した。 その結果、習得段階では条件間に有意な差は示されなかったが、1日後の保持テストでは遅延長条件の絶対誤差の方が遅延0条件よりあ有意に小さいことが示された。これらの結果から、仮説通りに条件間で学習効果が異なっており、遅延長条件の方が遅延0条件よりも高い学習効果を発揮することが明らかとなった。これは、KRの即時提示は学習者のフィードバック依存性を高め、保持能力の獲得を阻害するが、KR提示から最も遅延したKRを提示することによって学習者のフィードバック依存性を抑制し、高い保持能力を獲得できたと考えられる。つまり、漸減要約フィードバックの高い学習効果の原因は、学習段階に沿った漸減的提示に加えて、学習者自身のエラー検出能力を高める遅延提示であることが明らかとなった。
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Research Products
(13 results)