2009 Fiscal Year Annual Research Report
小・中学校の歴史学習におけるハイパーメディア教材利用の有効性の検討
Project/Area Number |
20700633
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
李 禧承 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 準研究員 (50463823)
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Keywords | 初等・中等教育段階 / ハイパーメディア教材 / 理論モデル / 論争性 / デザインモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、小・中学校の歴史学習におけるハイパーメディア教材の利用効果を、「概念地図法」を用いて検証することにある。研究課題は1、日本と韓国の小・中学校の歴史学習において「難構造化知識領域」の学習内容について理論的な検討を行うこと、2、小・中学校の歴史学習におけるハイパーメディア教材の学習効果を、「概念地図法」を用いて生徒個々人の概念地図の意味的な変容を分析して捉えることである。 本年度は、小・中学校の歴史学習においてハイパーメディア教材による学習効果を実証するための基礎作業を行った。その成果は次の3点にまとめられる。1、20年度に引き続きの作業として、学校段階別のハイパーメディア教材の利用可能性を示す理論モデルを構築し、明示した(下記の〔雑誌論文〕)。2、ハイパーメディア教材利用が求められる歴史学習の場面を特定するために、理論的な検討を行い、歴史の教科特性ともいえる「論争性」の理解を支援するためにハイパーメディア教材の利用可能性を提案し、そのための教材のデザインモデルを明示した(下記の〔学会発表〕、〔図書〕)。3、歴史ハイパーメディア教材のデザインモデルに基づき、「植民地はどっちだ-大和政権と朝鮮」を題材として歴史ハイパーメディア教材の内容構成を行った。特に、暗記科目として理解される傾向のある歴史学習指導の現状を打開するために、歴史の「論争性」の理解が最も重要な性質であることを理論的に根拠づけたこと、またその「論争性」の理解を支援する歴史ハイパーメディア教材のデザインモデルを提案し、教材の内容構成を試みたのは本年度の重要な研究成果である。よって、特定の歴史学習の指導場面にハイパーメディア教材の利用可能性を理論的に根拠づけることで、来年度に実施予定のモデル教材の開発とその利用調査の範囲を限定することができる。
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