2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法によるナノ粒子状レアメタルの発癌リスク評価
Project/Area Number |
20710027
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長谷川 豪 久留米大学, 医学部, 助教 (80383751)
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Keywords | ナノ粒子 / レアメタル / 健康影響 / 発癌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノ粒子状レアメタル(希少金属)の健康影響、特に発癌に対するリスクを遺伝子レベルで評価することである。先端産業に不可欠な金属素材であるレアメタルの中でも特に化学反応性の高いナノ粒子に着目し、ナノ粒子が生体に与える健康影響、レアメタル曝露の危険性を明確にする。酸化インジウム(In_2O_3)、酸化ジスプロチウム(Dy_2O_3)、酸化タングステン(WO_3)、モリブデン(Mo)のナノ粒子溶液を用意し、ゼータ電位測定装置を用いて各ナノ粒子溶液の分散能を明らかにした。また、サルモネラ菌4株と大腸菌1株を用いたエームス試験により各被験物質の変異原性を検討した結果、マイクロサイズと比べてナノサイズのDy_2O_3で強い変異原性がみられ、ナノサイズのIn_2O_3及びWO_3でも弱い変異原性がみられた。Bhas42細胞を用いた形質転換試験では、In_2O_3とDy_2O_3で変異コロニー数の増加がみられたが、ナノサイズとマイクロサイズでは変異コロニー数に差はみられなかった。以上の結果から、ナノサイズのIn_2O_3とDy_2O_3では変異原性と形質転換能が共に認められ、発癌イニシエーション活性とプロモーション活性を有することが示唆された。今後、短期発癌モデルマウスを用いたin vivo発癌性試験やアメタル投与担癌マウスの網羅的遺伝子発現解析によるナノ粒子状レアメタルの発癌性の検討及び発癌機序の解明が望まれる。
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Research Products
(2 results)