2008 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線吸収剤の水環境中挙動の解析及び水生生物に対するリスク評価に関する研究
Project/Area Number |
20710030
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
亀田 豊 Center for Environmental Science in Saitama, 水環境担当, 主任 (60397081)
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Keywords | 紫外線吸収剤 / 環境分析 / PPCPs / 生態リスクアセスメント |
Research Abstract |
本年度は、 (1)国内外で使用が予想される紫外線吸収剤の調査、標準物質の入手 (2)入手した紫外線吸収剤の水中及び底質中濃度把握のための多成分同時分析手法の確立 (3)河川・湖沼水及び底質中の紫外線吸収剤の濃度把握 を行った。 (1)国内外で使用が予想される紫外線吸収剤の調査、標準物質の入手 現在使用されていると予想される紫外線吸収剤をインターネットで調査し、その一部を入手することができた。入手できた物質は、ベンゾトリアゾール系9種、ベンゾエート系3種、ベンゾフェノン系4種、トリアジン系1種、フェニルサリシレート系2種、アクリレート系2種、HALS2種、化粧品として使用されている物質7種、合計30種であった。 (2)入手した紫外線吸収剤の水中及び底質中濃度把握のための多成分同時分析手法の確立 これらの物質の環境中濃度の同時分析手法として、本研究では溶存態濃度の分析方法に固相カートリッジを使って濃縮後GC/MSにより分析する方法、底質、懸濁態中濃度の分析方法に超音波抽出後フロリジルカラムにより分画した後、GC/MSにより分析する方法を採用した。その結果、入手した全30種のうち、22種類を複数の内部標準物質を使用することで同時分析することができた。 (3)河川・湖沼水及び底質中の紫外線吸収剤濃度の把握 2008年12月に綾瀬川(なわて橋)、不老川(山王中付近)、鴨川(諏訪前橋)、越辺川(落合橋)、柳瀬川(志木大橋)で採水及び採泥を行い、確立した分析方法により紫外線吸収剤の濃度を分析した。すべての調査地点において紫外線吸収剤が検出された。検出された物質が最も多かった河川は不老川で11物質、ついで綾瀬川10物質であった。検出された物質は化粧品に用いられているベンゾフェノンやEHMCのほか、高分子製品に使用されるベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、アクリレート系紫外線吸収剤が検出された。また、底質と水中間の分配係数(logKoc)は物質のlogKowと有意な正の相関が確認された。
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