2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710036
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山下 英俊 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (50323449)
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Keywords | 産業廃棄物税 / 要因分解 / 最終処分量削減効果 / 産業廃棄物実態調査 / 誘因効果 |
Research Abstract |
本研究は, 産業廃棄物税を題材とし, 都道府県の産業廃棄物統計を用いて税導入に伴う産廃最終処分量の変化の要因分解を行い, 主要な変化要因の中から税導入の影響が認められるものを抽出することで, 産業廃棄物税の効果を定量評価することを目的とする。産業廃棄物税は, 価格メカニズムを用いた廃棄物の削減と, 税収による財源調達という二つの政策目的を有している。自治体によって導入形態が異なり、(1) 事業者申告納付方式、(2) 最終処分者特別徴収方式、(3) 焼却処理・最終処分業者特別徴収方式、(4) 最終処分業者課税方式の4種類に大別される。理論的には、廃棄物削減への誘因効果は(3) が最も高く、次いで(1)、(2)、(4) の順となることが示唆されている。このような廃棄物削減への誘因効果に関する制度設計の相違が, 現実の産廃最終処分量の変化に影響を及ぼしたか否かを検証する。 平成20年度は、まず、事前調査として、全国自治体の産廃税導入状況および産廃統計の整備状況の調査を行い、統計分析の対象とする自治体を選定した。具体的には、産廃税導入自治体を抽出し、その中で、産廃統計の整備状況から、要因分解に利用可能な年次の統計が整備されている自治体を抽出した。続いて、対象自治体のうち、三重県、熊本県、大分県について、産業廃棄物実態調査報告書を入手し、要因分解を行うために必要な統計の加工を行った。今後、要因分解の分析を行うことで、産廃税の導入に伴う最終処分量の減少を定量評価することができる。さらに、制度設計の異なる自治体間で、産廃税導入に伴う最終処分量減少効果を比較することで、理論的に示唆される誘因効果の相違を実証的に検証することが可能となる。
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