2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720033
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 寛 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (40431879)
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Keywords | 聴覚文化 / ロベルト・シューマン / ビートルズ / ビデオゲーム |
Research Abstract |
本課題にとって最終年度となる平成22年度は、前年度までの調査で得られた知見の公開・発信に努めた。近代ヨーロッパ思想における聴覚の位置づけを、他の諸感覚(とくに視覚と触覚)との関連・峻別を視野に入れて考察した論文「聴覚の座をめぐる近代哲学の伝統」を『美学』(美学会編)に掲載し、音楽が聴覚的想像力とどのように結びついているかを、作曲家シューマンの器楽作品を例に取って検討した論文「歴史の空白とジャンルの闘争」を『思想』(岩波書店)に発表した。また現代のメディア環境において、音楽作品がどのように聴取・消費されているのかを、ロックミュージックのリマスターCDを事例に考察した論文「われわれは何を買わされているのか」を『ユリシーズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)に発表した。 また音楽(クラシック、ポピュラーを問わず)に限らず、現代的なメディアとテクノロジー全般における聴覚の問題にアプローチするために、ビデオゲーム(テレビゲーム)に注目し、神戸大学で行われたフォーラム「テレビゲームの感性的論理-ニューメディアと文化」において「ビデオゲームにとってリアルとは何か?」という研究発表を行った。そこでの発表内容は、フォーラムでの討議と合わせて、現在、刊行作業中である。
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