2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世・近代における能楽囃子の変遷-大鼓葛野流・小鼓幸流を中心に
Project/Area Number |
20720065
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 和道 Waseda University, 演劇博物館, 助手 (50434361)
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Keywords | 中世文学 / 近世史 / 近・現代史 / 能楽 / 囃子 / 大鼓 / 小鼓 / 音楽 |
Research Abstract |
当初計画に則り、まず演劇博物館所蔵川崎九淵コレクションの調査を行った。同コレクションは、1998年に九淵の令嬢川崎勝子氏によって寄贈された資料であるが、本調査の準備過程で寄贈から漏れていた新たな資料の存在が確認された。この中には、これまで未発見であった大正から昭和にかけての九淵の演能控や手附、戦中から戦後にかけて九淵が記した日記などが含まれている。これらは、近代以後の能楽囃子に多大な足跡を残した川崎九淵の事績を解明する上で極めて貴重な資料であると考えられる。同資料の全容と日記の一部は「川崎九淵旧蔵資料追加寄贈目録-附川崎九淵日記抄£として公開した! 一方、近世以前の大鼓に関しては、盛岡市中央公民館所蔵の南部藩旧蔵資料の調査を実施した。同館に所蔵される江戸末期の盛岡藩主南部利剛手沢謡本には、葛野流の八世宗家であった葛野九郎兵衛定敬が与えた手附が書き込まれている。葛野九郎兵衛は江戸後期に活躍した大鼓役者で、特に明治初期に活躍した津村又喜や葛野定睦の師匠に当たることから、近代以後の囃子にも大きな影響を及ぼしたことが明らかである。また南部家旧蔵の伝書類は、明治以後に川崎九淵が流儀の手附を大成する中で参照したことが知られており、近世から近代にかけての大鼓手組の変遷を明らかにする上でも重要な資料である。本調査では、これらの資料の網羅的調査を実施し、内容の分析把握に従事した。このほか、宮城県図書館に所蔵される伊達家お抱えの大鼓方、奥山家旧蔵資料の調査、及び、法政大学能楽研究所に所蔵される石井流大鼓役者の小杉次三郎伝書の調査も行った。奥山家資料には、幸流小鼓関係の資料が多数含まれていることが判明したが、これは来年度予定している幸流関連資料調査の結果と併せて考察を行いたい。
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Research Products
(1 results)