2008 Fiscal Year Annual Research Report
西鶴と団水を中心とする、浮世草子と俳諧に関する総合的研究
Project/Area Number |
20720066
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
水谷 隆之 Bukkyo University, 文学部, 講師 (60454500)
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Keywords | 近世文学 / 俳諧 / 浮世草子 / 井原西鶴 / 北条団水 |
Research Abstract |
本年度は、西鶴と団水の俳諧、ならびに団水作浮世草子に関する基礎的研究を行った。 俳諧については、その研究成果の一部を「『団袋』の西鶴一団水との両吟半歌仙について-」(『国語と国文学』86巻7号、2009年7月刊行予定)として論文化した。本稿では、『俳諧団袋』(団水編、元禄4年刊)所収西鶴・団水両吟半歌仙2巻や、『蓮実』(賀子編、元禄4年刊)所収西鶴句等の分析を軸に、談林時代からみられた〈ぬけ〉〈とび〉といった手法を用いて〈疎句〉を招来した西鶴句の例を具体的に指摘し、それらと浮世草子の関係についても考察を加えた。元禄期の西鶴の俳諧が、いわゆる元禄俳諧や当時の蕉風俳諧の特徴と近接するものであることを明らかにすることによって、それとの懸隔を指摘する従来の評価を一部改めたものである。なお、これまで注釈のなかった『団袋』所収半歌仙2巻の全注釈についても、追って発表する予定である。 団水の浮世草子については、特に『色道大鼓』等の好色物浮世草子の分析、ならびにその成立事情についての調査・研究を行った。当該研究を進めるにあたっては、同時期の遊女評判記の影響を看過できないため、延宝〜宝永期に刊行された遊女評判記の分析ならびに諸本調査をあわせて行い、その影響関係についても精査した。なお、遊女評判記に関する調査成果については、その一部を『江戸吉原叢刊遊女』第3巻・第4巻(八木書店)に解題・翻刻として収め、次年度以降公刊する予定である。
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