2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720073
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山城 新 University of the Ryukyus, 法文学部, 准教授 (80363654)
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Keywords | 海洋文学 / 環境文学 / アメリカ文学 |
Research Abstract |
初年度においては先行研究の批判的検討が中心的な課題となった。20世紀アメリカの海に関わる文学作品をにはどのようなものがあるのかについて、既刊の一般的文学概説書やアンソロジーを概観し、20世紀の海の文学作品の整理に努めた。第二に20世紀的思想の潮流を担う哲学者、思想家、批評家の著作や研究書を収集し、海環境にまつわる文化現象や文学的課題を分析する際に理論的適応性について検討をした。文学作品のみならず、映像メディアが海環境が主要な役割を担うようになるのが20世紀アメリカ文化においても特徴的であると仮定し、代表的な映画やドキュメンタリー記録も収集し、分析を始めた。その成果の一部をスペインのアルカラ大学で開催された国際会議(3rd Biennial Conference : University of Alcala, Spain, October 16-19, 2008)で発表した。この内容は、ジャック=イヴ・クストーの一連のドキュメンタリー映画や他の著作にみることのできるダイビング体験の記録の中には、<rapture>と<restraint>といった表現上の特徴が観られ、それは究極的に<死>の希求ないし情動と関連していると結論づけた。これらはフロイトやラカンの精神分析批評を応用し、議論を発展させたものである。15月23日-24日には台湾の淡水大学で開催された国際会議(4th International Conference on Ecological Discourse)でアメリカフロンティア史において海中探検が重要なモチーフを提供していることを指摘した論考を発表した。台湾の文学・文化研究学術誌Concentricの「水」に関する特別号の編集者の一人として参加し、同時に概説をまとめたエッセイを出版した。その特別号は2008年4月末に出版された。
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Research Products
(3 results)