2008 Fiscal Year Annual Research Report
18~19世紀における奥羽両国の地域間交流と地域形成に関する社会史的研究
Project/Area Number |
20720165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 教育研究支援者 (50374872)
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Keywords | 日本史 / 19世紀 / 奥羽地方 / 地域史 / 地域間交流 / 地域形成 / 地域リーダー / 歴史資料の保全 |
Research Abstract |
平成20年度は、研究課題に関連する調査として、最上街道軽井沢越え、二口街道、山中七ヶ宿に関連する古文書史料の収集およびフィールドワークを実施した。 古文書資料については、公的機関である東北歴史博物館、宮城県図書館、仙台市史編さん室に所蔵されている資料の複写およびデジタル撮影を、各機関の協力を得て実施することができた。一方、最上街道沿いである宮城県加美町で、地元の文化財保護委員の協力を得て、二軒の個人宅で古文書資料の調査・保全を行った。調査の結果、19世紀中頃を中心とする街道交通の実態や、当該地域における地域間交流とそれをふまえた地域リーダーの動向を示す新史料を確認することが出来た。一方、最上街道軽井沢越えに関しては、宮城県加美町で、現在廃道となっている仙台藩軽井沢番所附近の街道調査を行った。往来のため道路が複線化されている状況や、番所警護の足軽集落の現況を確認できた。 研究成果としては、仙台藩領において、特に18世紀後半以降に上記のような地域間交流などを背景に出現する地域リーダー層の全体的な動向について論考をまとめた。彼らへの社会的責任の要求を背景に、彼らが藩政へ具体的に関与してゆく動向が、幕末期仙台藩政に一定の規定性を与えるという展望を示すことが出来た。また、同時期のこのような動きに対応する藩官僚の動向を分析し、儒教思想を応用した社会資産の均分化や、市場経済を統御するためのあらたな社会システムの構想の存在について明らかにした。 なお、平成20年6月に発生した岩手・宮城内陸地震の被災地域は、本研究課題の対象地域の一つでもあるため、NPO法人宮城資料ネットワークと協力し、宮城県栗原市および大崎市での資料保全活動を行った。その活動成果についての論考で、人員や資金などの条件が限られる中での被災資料保全の方法論について提起した。
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Research Products
(4 results)