2009 Fiscal Year Annual Research Report
18~19世紀における奥羽両国の地域間交流と地域形成に関する社会史的研究
Project/Area Number |
20720165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 教育研究支援者 (50374872)
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Keywords | 18~19世紀 / 奥羽地方 / 地域間交流 / 地域史 / 交通史 / 地域リーダー / 藩主と藩官僚 / 歴史資料保全 |
Research Abstract |
平成21年度は、研究課題に関連する調査として、最上街道軽井沢越えと関山街道、二口街道を中心に古文書史料の収集およびフィールドワークを実施した。 史料調査については、宮城県図書館・仙台市史編さん蜜・東北大学附属図書館に所蔵されている資料の複写およびデジタル撮影を、各機関の協力を得て実施することができた。また、宮城県加美町で地元の文化財保護委員の協力を得て、2軒の個人宅で古文書資料の調査・保全を行った。調査の結果、17世紀中頃の鉱山開発に伴う奥羽両地域間の人的移動の実態や、19世紀における書籍流通の一端を示す新史料を確認することが出来た。 フィールドワークについては、明治15年に開削された関山隧道および近世期の関山街道跡の現状確認調査を実施した。その結果、従来未確認であった近世期の関山街道の路線が比較的明確に残存していることを確認できた。また村山郡猪野沢村(山形市)と宮城郡新川村(仙台市)を結ぶ小山田道路の廃道跡についても、地元の関係者を通じて史料収集を行うことが出来た。 研究成果として、幕末期仙台藩の西洋型軍艦による交易との関連で考察する学会発表を行い、19世紀地域側の社会的蓄積の到達点として明治初年の街道建設を位置づけた。また、天保飢饉に関する研究論文と、論考および関連資料翻刻からなる編著を出版した。ここでは飢饉時の食料確保にともなう街道での物資移動統制の状況から、個別地域の生存確保のため奥羽両国が対立する状況を解明することが出来た。また、そのような状況を前提にした仙台藩政の動向を、従来の研究ではまったく注目されていなかった仙台藩主および藩官僚層の動向から分析し、地域間交流を通じた藩政の変容について具体的に明らかにした。合わせて、関連資料の全文翻刻により、蓄積の少ない仙台藩に関する通史的な基礎史料を学会及び地域社会に提供し、今後の地域史研究に資することが出来た。
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Research Products
(8 results)