2008 Fiscal Year Annual Research Report
オスマン帝国改革期における中央-地方の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
20720184
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋葉 淳 Chiba University, 文学部, 准教授 (00375601)
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Keywords | 東洋史 / 西アジア史 / オスマン帝国 / 地方行政 / 近代化 |
Research Abstract |
本年度は資料の調査・収集を中心に進め、それら収集した資料をもとに研究成果の一部を発表した。夏季にトルコ・イスタンブルに出張し、総理府オスマン文書館等で資料調査を行ない、主にオスマン朝タンズィマート改革初期に関する政府文書を収集した。とくに、タンズィマート期の地方評議会と、1845年の地方代表者会議に関する文書史料を収集した。また、オスマン帝国官報のDVD-ROM版を購入したことは本年度の資料収集の重要な成果の一つである。これによって、法令や政府の公式報告など重要な情報を記載する官報が容易に利用できるようになった。このほか、タンズィマート期オスマン帝国に関連する西欧語の旅行記や同時代の定期刊行物、英国議会資料などの一部は、オンラインデータベースやインターネットにより電子媒体を使って収集することができた。 公表した研究成果のうち主たるものは、タンズィマート改革初期におけるオスマン帝国の政策決定過程に関する学会発表である。この発表では、1841年に当初の改革政策が修正される際に、各地の地方官らの意見が積極的に集められ、取り入れられていたことを文書史料の精査から明らかにした。この研究の意義は、改革の過程を中央-地方間のやりとりを含む試行錯誤の連続として提示したことによって、「上からの改革」と言われるタンズィマート改革の再検討に向けて一つの足がかりを提供したことにある。また、1840〜41年にかけて改革への抵抗としてアナトリア各地で生じた反乱についても調査し、とくにアナトリア中部の町トカトを採り上げて研究発表を行ったほか、改革期に設立された地方評議会について、新たな情報を加えて英文で論考を発表するなどした。
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Research Products
(6 results)