2009 Fiscal Year Annual Research Report
オスマン帝国改革期における中央-地方の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
20720184
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋葉 淳 Chiba University, 文学部, 准教授 (00375601)
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Keywords | 東洋史 / 西アジア史 / オスマン帝国 / 地方行政 / 近代化 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き史資料の調査・収集を行うとともに、収集した資料をもとに研究成果の一部を発表した。 まず、5月に広島で開催された日本中東学会年次大会にて、1845年に各地の地方名望家をイスタンブルに集めて開かれた地方代表者会議についてオスマン帝国の文書及び刊行史料に依拠して研究成果を発表した。この報告の主たる結論は、この会議が総勢300名程度の地方有力者を首都に集合させた巨大な政治的イベントであったが、会議の目的は、地方代表者からの聴取以上に、中央主導の新しい改革政策を彼らに承認させ、協力を要求することにあった、という点である。しかしながら、8月のトルコ出張の際に、まさに同じテーマで書かれたトルコ語論文が7月に刊行されていたことが判明した。オスマン史研究が国際的競争の激しい分野であることを改めて示す出来事であったが、このテーマの研究はアプローチの変更を余儀なくされた。 トルコにおける資料調査では、1840~41年に生じた改革への抵抗運動に関する文書資料を中心に調査・収集を行った。とくにアナトリアにおける反乱に関する資料を集中的に収集した。そのほか、ケーススタディーの対象として、中部アナトリアのトカト、黒海東部沿岸地方、アナトリア南部のアランヤ近郊のイブラドゥなどを取り上げ、19世紀の地方行政に関わる文書・文献資料を調査した。トルコ以外の外国での文書資料調査は行うことができなかったが、トルコ国内において相当数の資料を集めることができた。 また、1840~41年に生じた改革への抵抗運動に関しては、その概観と予備的考察をまとめ、共著書所収の論文として公表した。そのほか、オスマン帝国改革期に関する基礎資料の翻訳と解説を刊行するなどした。
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Research Products
(3 results)