2010 Fiscal Year Annual Research Report
古都・長安の“再"発見-足立喜六著『長安史蹟の研究』を中心に
Project/Area Number |
20720189
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村松 弘一 学習院大学, 東洋文化研究所, 准教授 (70365071)
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Keywords | 中国古代 / 古写真データ / 都市の変化 / 古都 / 長安 |
Research Abstract |
(1)清末西安の教育と日本人教習についての研究 足立喜六が陝西高等学堂に赴任していた1906年-1910年の陝西省における日本人教習の受け入れ状況・教高等学堂の教育カリキュラム・日本人教習の生活について、日本外務省記録を整理し、韓国の中国史研究会にて研究報告をおこなった。 (2)近代西安の文物事業についての研究 1944年の陝西省歴史博物館開設に至るまでの西安の文物保護事業について、1932年から1945年まで西安の都市計画をおこなっていた南京国民政府直属の西京籌備委員会の事業を中心に調査・整理した。その結果、西北開発の推進と共に文物事業をおこなった時期(1932年~1937年)、抗日戦争のために低調となった時期(1937年~1940年)、重慶国民政府の西北芸術文物考察団と協力して文物事業を展開した時期(1941~1944年)に区分できると結論づけた。 (3)ギメ東洋博物館所蔵資料の調査 フランス・パリのギメ東洋美術館において、ライブラリアンの曹女史(台湾出身)の協力を得て、西安・碑林所蔵の「大秦景教流行中国碑」のレプリカが1917年に収蔵されたこと、セガーレンらによる20世紀初頭の西安に関するガラス乾板資料を所蔵していることを確認した。また、20世紀初頭のギメ美術館コレクション目録を調査し、唐・太宗昭陵の「六駿」のうち、米国フィラデルフィアのペンシルバニア博物館所蔵の二頭のレプリカを購入していたことを発見。また、創始者のエミール=ギメは「太宗」というオペラを制作していたこともわかった。北方遊牧民をも制圧した唐太宗は中華民国の文物政策において、近代中国のナショナリズムの象徴として、その陵墓である昭陵も保護された。近代ヨーロッパでは、太宗に対してどのような認識をもっていたのか、新たな課題として浮かび上がってきた。 (4)成果の社会還元 日本学術振興会「ひらめき☆ときめきサイエンス」の一環として「宇宙と地下からのメッセージ-秦の始皇帝陵が語る古代中国」を開催し、本研究の成果を高校生向けにわかりやすくレクチャーした(学習院大学、2010年8月)。
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Research Products
(3 results)