2011 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における結晶片岩製石器生産・流通史の復原に関する研究
Project/Area Number |
20720206
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 豊 徳島大学, 埋蔵文化財調査室, 准教授 (30291496)
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Keywords | 結晶片岩 / 弥生時代 / 柱状片刃石斧 / 石庖丁 / 眉山 / 高越山 / 藍閃石-塩基性片岩 |
Research Abstract |
今年度は、四国・近畿地方における弥生時代の柱状片刃右斧を実見し、その比重・色調のデータを加えた。昨年度までのデータに加えて、ほぼ本研究に必要なデータを採取することはできた。 次に、徳島市眉山、徳島県吉野川市高越山を中心に石斧原石の採集地点探索のため、石材標本の採集をおこなった。とくに、徳島市南庄遺跡から至近の徳島市眉山落合谷や、徳島県阿波市の吉野川北岸河岸段丘上にみられる遺跡群から吉野川対岸に位置する吉野川市高越山からは、色調・比重ともに、弥生時代中期にみられる藍閃石-塩基性片岩製の柱状片刃石斧と同様のデータを持つ標本を採集することができた。株式会社遺物材料研究所の藁科哲男氏に依頼し、氏の手持ちの結晶片岩データと、中村採集標本・および徳島市南庄遺跡、同市庄・蔵本遺跡、大阪府岸和田市畑遺跡、同市下池田遺跡、同市栄の池遺跡出土資料との比較をおこない、とくに比重に関しては、眉山落合谷・高越山採集標本が、他の三波川帯資料と比較して、柱状片刃石斧との類似性を持つことを把握できた。この点は、各地の原石データがまだ十分ではないこともあるので、今後の課題としていきたい。今年度までに採取してきた、各地の比重データを比較検討すると、弥生前期の柱状片刃右斧の比重は、すべて、2.9d以内に収まることが判明した。一方弥生中期中葉以降のデータはいずれも3.03d~3.21dであり、産地が異なる可能性が高く、とくに後者は眉山・高越山産である可能性が高くなった。
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Research Products
(3 results)