2008 Fiscal Year Annual Research Report
北海道におけるアイヌ民族と和人との協働による観光開発の可能性に関する研究
Project/Area Number |
20720220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山村 高淑 Hokkaido University, 観光学高等研究センター, 准教授 (60351376)
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Keywords | 先住民族 / 北海道 / 観光 |
Research Abstract |
本年度の研究では、大きく、以下の三点の成果を上げた。 (1) 先住民族とその他の民族が協働して遺産管理・観光活用を行っている諸外国の事例として、米国ハワイ州オアフ島ワイメア渓谷における土地管理と観光開発の事例、ニュージーランドにおけるトラスト制度を取り上げ、文献調査ならびに関係者へのヒアリングによりその仕組みの概要を整理するとともに、特に前者については実地調査を行い現地の土地管理・観光開発実態について詳細な把握を行った。その結果、ハワイの事例では、ワイメア渓谷が先住民族の管理下に置かれるまでの経緯、土地管理・観光管理を行うための関係主体間の協力関係について明らかにした。ニュージーランドの事例では、各地に存在するトラストが、観光開発に際して利害関係者のコンセンサスを得るための仕組みであり、また利益の再配分を行うための仕組みとなっていることを明らかにした。 (2) 道内主要観光地のうち先住民族エコツアーを実施している地域から、知床ウトロ地区ならびに札幌市南区・北区の動きを取り上げ、それぞれの事例について関係者・実施主体にヒアリングを行った。また実際にツアーの企画メンバーとして運営会議に参加させていただくことで参与観察を行い、アイヌ文化を活用した観光を成立させる背景、およびこうした観光開発が地域に及ぼすインパクトを分析し、アイヌ民族と和人が協働する上での制約要因となっている社会的メカニズムの課題について検討を行った。 (3) 近代以降の北海道におけるアイヌ民族と和人の遺産管理・観光活用への関わりの歴史を網羅的に整理することを目的として、特に北海道の観光開発におけるアイヌ民族の位置付けとその関わり方の歴史、アイヌ語地名の継承とその観光活用のあり方、の二点について明治以降の記録資料・文献を中心に整理・分析を行った。
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Research Products
(1 results)