2010 Fiscal Year Annual Research Report
北海道におけるアイヌ民族と和人との協働による観光開発の可能性に関する研究
Project/Area Number |
20720220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山村 高淑 北海道大学, 観光学高等研究センター, 准教授 (60351376)
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Keywords | 先住民族 / 北海道 / 観光 |
Research Abstract |
本年度の研究では、大きく、以下の四点の成果を上げた。 (1)先住民族と非先住民族が協働して遺産の管理・観光活用を行っている諸外国の事例として、米国アラスカ州におけるAlaska Native Heritage Centerの展示・教育プログラム・運営実態を取り上げ、文献調査ならびに関係者へのヒアリング、現地実態調査によりその仕組みの概要を整理した。その結果、伝統文化の保存継承活とその成果を公開する場としてのツーリスト向けのプログラムが相乗効果を発揮し、特に若い世代の先住民に対し、民族としてのプライドを高める機会を提供していることが明らかとなった。 (2)中国雲南省における少数民族文化の継承が非少数民族との関係性の中でどのように位置づけられているのかについて、中国北京大学の研究者と共同事例研究を行い、その成果をUNESCOの国際会議において口頭発表を行った。 (3)知床ウトロ地区ならびに札幌市北区・南区において、関係者の協力の下、ヘリテイジトレイルの策定を行い、実証実験を行った。これらヘリテイジトレイルにおいては、昨年までの研究で仮説として抽出された、先住民文化と非先住民文化、そして自然環境との相互作用を多角的に見せることの重要性を実証した。またこうしたツアーにおけるインタープリテーションツールとして、最新の情報端末の活用を試み、その有効性を検証した。 (4)昨年度までの成果ならびに本年度の成果を踏まえ、地域の社会的・文化的環境を含めてこれを適切に保存するという観点から、現行の観光開発のプロセス、関連する教育プログラムの問題点を抽出した。そのうえで、観光開発の負のインパクトが最小限に抑えられるとともに、遺産の保存・継承が進み、それに基づく観光産業が創出されるためには、地域社会にどのような要件が求められるのか、特に先住民族社会と地域社会の協力の在り方という点から総括を行った。
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Research Products
(2 results)