2008 Fiscal Year Annual Research Report
異性装の特殊性と普遍性:インドのヒジュラとカナダのベルダーシュに関する調査研究
Project/Area Number |
20720243
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
國弘 暁子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 研究員 (20434392)
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Keywords | 異性装 / ジェンダー / 模倣 / 反復 |
Research Abstract |
本研究は、インドのヒジュラ(イメージとしての両性具有)とカナダの先住民ベルダーシュ(男女man-womanとも言われる)を考察の対象に据えて、性と装いの境界を超える異性装の特殊性と普遍性について、文献研究と海外調査の二側面から考察することを目的とする。 本年度は、お茶の水女子大学附属図書館の学術ネットワークを利用して、南アジア地域研究、ジェンダー研究、及び人類学的研究における最新トピックに関する文献の渉猟を行い、ヒジュラとベルダーシュに関する現地調査の基盤作りに徹した。 日本国内での文献研究に加えて、本年度は、インド、グジャラート州の都市アフメダバード市(Ahmedabad)に、平成21年2月21日から3月22日まで滞在し、現地調査を実施した。滞在期間の一週目は、T.B. パルマール教授の協力のもと、H.K. ArtsCollegeの附属図書館において、アフメダバード旧市街地の歴史に関する文献調査を行った。二週目からは、旧市街地内の「ポール(pol)」と呼ばれる居住地に住むヒジュラ宅に滞在し、ヒジュラとしての活動に同行した。都市部におけるヒジュラとしての活動とは、子供が生まれた家や、嫁をもらったばかりの家を訪れて、その家が栄えるようにと言祝ぎを行う。その際にヒジュラは、家の成員から米あるいは麦、そして粗糖をもらい、さらに現金を受け取る。また新装開店時や新年には商店に出向いて言祝ぎを行い、店主から金銭を受け取る。このように、女神の名において言祝ぎを行い、乞食(こつじき)をするヒジュラに対して、人々は穀物や金銭を渡しているが、近頃では、一部のヒジュラのグループが法外な金額を請求して、その上、路上で裸体をさらすなどの悪行を働いているため、人々の間にはヒジュラに対する悪い噂が広まり、ヒジュラと女神信仰とを区別して、ヒジュラからの乞食を拒否しようとする態度も見られた。
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Research Products
(6 results)