2008 Fiscal Year Annual Research Report
権威主義的人格傾向が司法の市民参加に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
20730003
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
藤田 政博 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 准教授 (60377140)
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Keywords | 権威主義 / パーソナリティ / 市民参加 / 司法制度 / 社会心理学 / 法社会学 / 刑事法学 |
Research Abstract |
本年は、権威主義的パーソナリティについての文献研究を中心におこなった。権威主義的パーソナリティの研究として画期をなすのはT. アドルノの研究である。近時アドルノの研究を中心にまとめられた、社会学者の手による権威主義的パーソナリティ研究を参照するとともに、アドルノ以前の権威主義的パーソナリティ研究、およびアドルノの研究の背景となった第2次世界大戦直前期のドイツの政治情勢についての文献調査を行った。 背景的文献調査については、権威主義的パーソナリティは市民の積極的自由や市民参加を否定すると予測されることから、トクヴィルをはじめとした司法への市民参加や自由・平等という観点からの意義づけに関する政治学的文献や、政治学理論に関する文献についても調査を行った。 一方、方法論の観点からは、アドルノ以降の社会心理学的研究手法の進展にともなって、アドルノによる研究について指摘された方法論的問題点を克服する試みが行われている。その中の主な物は1980年代以降のアメリカの社会心理学者によるものである。それらについても文献調査を行った。 これらの文献調査の成果については、慶應義塾大学法科大学院の紀要である「慶應法学」に論稿を発表した。また、共著書内でも権威主義的パーソナリティに関する論考を複数発表したが、出版されたのが2009年4月であるため、第2年度中の成果となる予定である。 また、第2年度の研究に資するべく、1960年代に日本で行われた日本語版の質問紙によるプレテストを学生に対して行った。このパイロットスタディの結果と、近時の日本の社会学者の研究成果を基にしつつ、2年度目の質問紙開発に臨む予定である。
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Research Products
(7 results)