2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境行政法における費用負担の法理と手法―日独比較法研究を中心として
Project/Area Number |
20730030
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
勢一 智子 Seinan Gakuin University, 法学部, 教授 (00309866)
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Keywords | 公法学 / 環境法 / ドイツ法 / 行政法学 / 原因者負担 / 公共負担 |
Research Abstract |
本研究は,環境法領域を素材とする比較法研究を通じて,政策実施に伴う費用負担のあり方を明らかにすることを目的とする。研究年度2年目となる本年度は,前年度に実施したドイツ法の制度理論研究・事例研究を踏まえつつ,EU法の研究および日本法の制度理論研究を中心に実施した。 EU法研究では,前年度に実施したドイツ法研究に引きつける形で個別分野における費用負担の理念と制度について調査を行った。特にEU法からドイツ国内法に移行される諸制度の理念を確認するため,関連するEU指令について調査・検討を進めた。主な分野として,廃棄物処理,リサイクル,気候変動防止,自然環境保全,水資源管理などを取り上げた。あめせて,EU指令に対応して実施されたドイツ国内法の改正動向についても調査を実施した。 日本法の制度理論研究では,公害法制を起点とする環境負荷に対する規制および被害救済にかかわる負担法理,公共負担による諸制度すらびに拡大生産者責任などが提示されている政策的な費用負担の制度について調査を実施した。これらの法理や制度の法政策上の位置づけを確認する作業を兼ねて,将来的な政策目標とされている循環型社会や低炭素社会の形成に向けて進められている取り組みについて,理念面および制度面から検討を行った。また,政策実施において一定の役割を担う行為負担として,環境情報の収集や提供など環境情報管理も,近時では重要な要素となっていることから,このような環境法分野と関連する制度等にも着目して調査を進めた。 近年,ドイツ環境関連法律の改正が続き,EU法の国内移行およびドイツ国内の連邦制度改革を受けて,本研究において参照すべき主要法律の大幅改正も進められている。このような動態的なせ実務状況も見据えつつ,次年度は,ドイツ国内の法政策動向を追加調査しながら日独比較研究を進めたい。
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Research Products
(5 results)