Research Abstract |
本研究は,環境法領域を素材とする比較法研究を通じて,政策実施に伴う費用負担のあり方を明らかにすることを目的とする。研究の最終年度となる本年度は,前年度までに実施したドイツ法とEU法を対象とした調査研究および日本法の制度理論研究を踏まえて,日本法の実態調査研究を実施し,日独比較研究を進めた。 日本法の実態調査研究では,前年度に実施した制度理論研究に接続させて,被害救済にかかわる諸制度,公共負担による諸制度ならびに拡大生産者責任による政策的費用負担を採用する制度の実態調査を実施した。とくに,循環型社会や低炭素社会の形成に向けて進められている取り組みについて,国レベルの法制度運用状況の調査とあわせて,自治体レベルにおける制度施策の運用状況について調査を行った。関連計画における計画目標の達成状況,地域特性を踏まえた個別施策とその実施状況などにつき,ヒアリング調査を含む実態調査を中心に行った。地域環境管理の取り組みとして,地域循環圏に見られるような広域連携のあり方が注目されつつあることから,広域型の先駆的事例にも着目して調査を進めた。 日独比較研究については,廃棄物処理,リサイクル,気候変動防止,自然環境保全,水資源管理など,本研究で調査対象としてきた分野を横断的に比較する形で検討を進めた。とりわけ,政策誘導の視点を含めて,経済システムとの連携を指向する法政策のあり方を中心に両国の共通点と相違点の抽出に取り組んだ。 本研究期間中に,ドイツ環境関連法律の改正が続き,本研究において参照すべき主要法律が大幅に改正されたため,本年度もその動向の追加調査を実施した。具体的には,連邦水管理法,連邦自然保護法の改正,並びに循環経済・廃棄物法の改正法案について調査をあわせて実施した。
|