2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
待鳥 聡史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40283709)
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Keywords | 政党間関係 / 分極化 / 比較政治学 / 政党執行部 / 執政制度 / 選挙制度 / イデオロギー対立 / アメリカ政治 |
Research Abstract |
本年度の最も大きな成果は、2011年の米国アジア学会年次大会において報告した共著論文"Alternative Paths to Party Polarization"(「政党分極化へのもう一つの道筋」)である。 本論文では、2000年代前半の日本政治における政党間対立の激化、とりわけ野党であった民主党が与党であった自民党に対抗する戦術として、執行部主導で対決姿勢を強めた過程に注目した。日本政治においては比較的珍しくない戦術の選択は、これを比較政治学的に見れば、支持者や所属議員のイデオロギー的分極化を伴わない政党間関係の分極化という独特の特徴を持つ。それは、支持者や所属議員のイデオロギー的差異の拡大によって分極化が生じているアメリカ政治とは、全く異なったタイプの分極化であるということができる。なお、アメリカ政治については本課題に関連した単著を出版しているが、今年度は別論文「アメリカにおける政権交代と立法的成功」でも改めて検討を加えた。 日本政治にはなぜこのような分極化が生じるのか。この問いに対して、本論文では執政制度と選挙制度の効果という観点から解答を試みた。すなわち、執政制度について議院内閣制が採用され、かつ執行部が公認権を持つ小選挙区制中心の選挙制度を採用している日本では、支持者や個々の議員のイデオロギー的立場とは直接関係なく、執行部が自律的に対決路線を採用する余地があり、所属議員はそれに追随するしかないということである。 なお、本論文は原型論文以降一貫して英語で執筆され、国際学会で報告された。今後は引き続き修正を加えて、近い将来に国際学術誌に公表する予定である。
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Research Products
(2 results)