2008 Fiscal Year Annual Research Report
後期サラマンカ学派の政治理論-カトリック的近代国家論の体系化
Project/Area Number |
20730101
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 University of Shizuoka, 国際関係学部, 講師 (80337873)
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Keywords | サラマンカ / スアレス / スコラ / 初期近代 / 政治思想 / スペイン / カトリック / 主権国家 |
Research Abstract |
本研究は、他のヨーロッパ諸国で興隆した同時代の国家理性論や社会契約説と比べて注目されることの少ない後期サラマンカ学派(c.1576-c.1615、メディナからスワレス)の権力・国家論に着目し、それが近代主権国家秩序の形成に与えた影響を検討するものである。本年度は、今後4年間に行う研究の基盤づくりを行った。すなわち、第一に、後期サラマンカ学派が依拠する前期サラマンカ学派の理論を体系的に整理しなおすことによって、本研究の分析枠組を整えた。第二に、後期サラマンカ学派のテキストの調査、読解作業を通じて、底本の確定と理論展開の把握に努めた。 具体的には、平成17〜19年度科学研究費補助金を受けて前年度までに明らかにした前期サラマンカ学派の政治理論と、今年度より分析を開始した後期サラマンカ学派の政治理論の異同を整理すべく、図書館相互貸借制度を通じて資料の調査と検討を行い、その中間的成果を早稲田大学と関西大学における研究会報告(別記)として公にした。後者は、分担者として関わっている文部科学省戦略的研究基盤形成支援事業を通じて深められた成果でもある。また、教育面においてもその成果を還元すべく、通常の講義に加え、慶應義塾大学法学部特別招聘講師として、「『新世界』征服は是か非か-16世紀スペインにおけるインディアス問題」と題する講義を行った。そして、これらの場で諸研究者や受講生から得られたコメントや質問をも反映させつつ、前年度から執筆していたサラマンカ学派に関する単著原稿を完成させ、出版作業に入った。 以上の作業を通して、サラマンカ学派に共通する理論的特質と世代間の異同が明確になり、次年度以降後期サラマンカ学派の権力・国家論を詳察するための基礎を固めることができた。
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Research Products
(2 results)