2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 弘 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00361577)
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Keywords | 航空市場 / 企業合併 / 規制緩和 |
Research Abstract |
本研究においては、2001年におけるJALとJASとの合併が日本の航空市場の市場環境に与えた影響を定量的に分析することを目的としている。戦後、日本の国内航空市場は多くの政府規制により管理されてきたが、1980年代後半より、徐々に規制緩和が行なわれてきた。特に、1996年において、運賃に関して「幅運賃制度」が導入され、一定の幅の範囲内で航空運賃を自由に設定できるようになり、運賃割引が柔軟に行なわれるようになったことが知られている。そこで、本研究における定量分析で用いるデータ期間を1996年から2007年までとする。2001年のJAL・JAS合併以前のデータを収集する理由は、合併以前と合併以後との国内航空市場の状況の違いを分析するための理由か照である。 今年度は、この研究計画を遂行するために、日本における空港および航空に関するデータを収集した。ともにデータは半年とした。空港に関するデータに関して用いるものとして、(1)空港別の着陸料、(2)航空各社別の離発着回数、(3)空港における容量制約、がある。(1)については、国土交通省航空局監修『数字で見る航空』(各年度)か照収集し、添田慎二著『空港経営-国際比較と日本の空港経営のあり方』(運政研叢書003)で用いられているデータも参考とした。(2)についてはJTB時刻表のデータを用いた。(3)については、データ変数を独自に作成した。(3)についてデータを作成する理由は、空港が容量制約にあるか否かを直接にデータから観察することが不可能だからである。空港が容量制約下にあるとは、その空港における潜在需要が実際の離発着回数を超えているために生じるが、この潜在需要はデータから観察されない。そこで、Airport Benchmarking Report(各年度)および財務省統計局『世界の統計』を用いて、海外の空港データを収集し、国内空港(特に羽田)が直面する潜在需要を推計することを試みた。海外空港データを用いる理由は、日本の国内空港だけを見る場合、羽田空港に相当するような需要規模を持つ空港が存在しないために、空港制約を越えた潜在需要を計測することができないからである。潜在需要の推計は、説明変数を着陸料、滑走路本数、空港県内のGDP、混雑空港ダミーを用いたCensored Modelを用いることで推計が可能である。 次に、今年度収集した航空に関するデータについて記す。旅客航空輸送における国内航路(例えば、羽田一千歳など)は全部で361ルート存在している。それぞれのルートについて、航空運賃、機種、離発着頻度および時刻はJTB時刻表から半年毎に収集した。
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Research Products
(4 results)