2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 弘 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00361577)
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Keywords | 航空産業 / 企業合併 / 構造推定 |
Research Abstract |
規制緩和が引き金となり航空会社間の国際的な競争が激しさを増すなか、航空会社による合併・連携(アライアンス)件数が急増している。航空産業において活発化する合併・連携の活動が、航空サービスやその料金体系に与える影響について知見を深めることは、今後も着実な需要増加が見込まれる航空産業を理解する上で、重要な課題である。企業による合併・連携に関しては、これまで産業組織論の分野を中心に数多くの理論的研究がなされてきたが、実証的な研究についてはその多くは産業間(inter-industry)の比較に基づくものであり、理論的な研究が関心を寄せてきた特定の産業(intra-industry)における企業合併に着目した実証研究は未だ揺籃期にある。本研究では、2001年における日本航空(以下、JAL)と日本エアシステム(以下、JAS)との合併事案を取り上げ、その合併が国内航空市場の競争状態にどのような影響を与えたのかについて構造推定手法を用いて分析を行った。まず航空需要については、1996年7月から2005年10月までのデータ期間において、O(起点)-D(終点)ベースのデータを用いて離散選択モデルを用いて推定を行った。航空需要を推計する際には、新幹線を含む鉄道との競合関係も考慮している。需要関数の説明変数のうち、価格およびフライト数については、内生性の問題があることを考慮して、操作変数を用いた一般モーメント法により推定を行った。航空サービス供給については、旅客数(有償座席数)の決定だけでなく、フライト数の決定も各航空会社は行うと考えて、モデルを構築した。推定結果は、需要・供給関数ともデータとの当てはまりは良いことがわかった。この推定値を用いて、本研究では、もし2001年にJAL-JAS合併がなされていなければ、日本の国内航空市場はどのような産業構造になっていたかという点である。本分析の結果、合併により当該合併企業の市場支配力が大きく上昇していることが見て取れた。
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Research Products
(5 results)