2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際貿易が技術進歩と所得格差に与える効果についての理論分析
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20730160
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大土井 涼二 Osaka City University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90433292)
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Keywords | 対外直接投資 / ローカルコンテンツ規制 / 研究開発 / 内生成長 / 技術移転 |
Research Abstract |
論文"Effects of local content requirement on foreign direct investment, innovation and welfare"では, 2国品質改善型内生成長モデルに対外直接投資(FDI)による途上国への技術移転と途上国によるFDI企業へのローカルコンテンツ規制 (LCR) を組み込み, この規制の緩和,即ち企業の立地自由化とともに中間部品調達の自由化を促すことが先進国での研究開発と先進国・途上国の厚生に与える影響を分析した. その結果, 以下の結果を得た. (1)通常部品生産に必要な労働需要を守るために行われるLCRであるが,企業による内生的な立地決定を考慮すると, LCRの緩和によってホスト国である途上国の賃金はかえって上昇する, (2)LCROの緩和により先進国での研究開発が促進され,その結果, 先進国・途上国の両国の家計が消費できる財の品質は上昇する, (3) ただし,財の価格はLCR緩和によって上昇する. これらの結果より, LCRの緩和が厚生に与える効果として,財の品質改善による正の効果と価格の高騰による負の効果の両方が存在することが明らかとなり, ある条件下では正の効果が負の効果を上回り, 正CRの緩和はパレート改善的になることが示された. また, 副次的な結果として, LCRの緩和が両国の厚生に与える効果は,研究開発活動が内生的に定式化されているかどうかに大. きく依存することが示された. 尚, この論文は大阪市立大学におけるセミナーでのコメントをもとに改訂中であり, 終了次第英文査読雑誌に投稿予定である
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Research Products
(2 results)