2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本の公的医療の費用非効率性と公営企業会計の特殊性
Project/Area Number |
20730161
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
藤井 敦 The University of Kitakyushu, 経済学部, 准教授 (00326456)
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Keywords | 経済統計学 / 公営病院 / 費用非効率性 |
Research Abstract |
本研究の目的は公営病院の経営上の特殊性に立脚しての費用非効率性を分析することである。今年度はその準備として、まず公営病院の経営環境を概観した。従来の研究では.マンパワー部門と医療材料部門に着目する研究が多かったが、公営病院は政策医療の実行主体でことから、病院の設置そのものに由来する費用を考量すべきで、病院経営に対する補助金がそれにかどうかという視点が重要であると考えた。これは、国家的に医療を供給する場合には、病院そのものが生産要素とみなされるということである。 次に、先行研究を概観し、計量経済学的な分析手法としてなるべく新しいものを整理した。費用非効率性を分析するための手法として、フロンティア推定法があるが、この手法の病院への適用については、ごく近年にはあまり例がない.もう少しさかのぼれば、距離関数アプローチと費用関数アプローチが独立して実行されていることが特徴的である。これらを相互に補完的に利用できないかを検討している。また、公営病院の独立採算原則に則れば、病院の赤字を、非効率性に由来する部分と公定価格(点数制度)に由来する部分に分けて考える重要性も存在する。 次に、データの収集と整理を行った。日本には1000近い公営病院が存在し、これらについて8年分のデータを収集した。経営データは年度ごとに発表されるため、これらのリンク作業を行った。現在、各種記述統計を作成し、データの特徴を概観しているところである。
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