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2009 Fiscal Year Annual Research Report

フィールド実験によるマイクロクレジットプログラムの考察:返済期限とグループ貸付

Research Project

Project/Area Number 20730198
Research InstitutionInstitute of Developing Economies, Japan External Trade Organization

Principal Investigator

高野 久紀  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 在ケンブリッジ海外派遣員, 研究員 (40450548)

Keywordsマイクロファイナンス / 家計内意思決定 / 現在志向バイアス
Research Abstract

近年のマイクロクレジット(以下MC)研究では、人々が期待していたよりもMCには貧困削減効果がないことが明らかになってきた。特に、これまでの研究でMCの効果が大きいとされてきた女性については、少なくとも最近のフィールド実験に基づく限りは、所得上昇効果などはなく、所得上昇効果が観察されるのは男性自営業者だという結果が共通してみられるようになっている。これは、MCの効果を考える際には、家計内でどのような資源配分がなされているのかを考察する必要がある。そこで、家計内の意思決定メカニズムを明らかにするため、ベトナムで夫婦を対象としたゲーム実験と調査票による調査を実施した。特に、近年の研究でMCのほか、マイクロ貯蓄が重要であること、また、貯蓄やMCの参加に現在志向バイアスが重要な影響を与えていることが明らかになってきたことを踏まえ、現在志向バイアスが夫婦間の所得配分、金銭管理、MCの全段階ともいえるROSCAへの参加にどういう影響を与えているのかを考察した。その結果、現在志向バイアスを持つ個人は、そのようなバイアスを持たない配偶者に所得移転をし金銭管理をゆだねることで家計として現在志向バイアスの問題に対処できる可能性があるものの、実際には現在志向バイアスを持つ個人ほど配偶者に所得移転せず、金銭管理を自分で行っていることが明らかになった。また、そのような現在志向バイアスを持つ夫をもつ妻は、家計資金を夫から守るために積極的にROSCAに参加していることも明らかになった。これらは、家計内で現在志向バイアスにかかわるConflictを抱えている家計に対し、マイクロ貯蓄が一つの有効なコミットメント貯蓄機能を与えることを示唆している。ベトナムでは伝統的なMCの活動は制限されているために今回は調査できなかったが、MCに対して家計内の現在志向バイアスにかかわるConflictがどのような影響を与えているかは、今後の研究課題である。

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Published: 2012-07-19  

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