2010 Fiscal Year Annual Research Report
組織間管理会計システムと相互依存性の管理に関する研究
Project/Area Number |
20730306
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
窪田 祐一 大阪府立大学, 経済学部, 准教授 (40329595)
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Keywords | 組織間管理会計 / 組織間マネジメント / 戦略的提携 / 組織間関係 / アライアンス / コラボレーション / 合弁事業 / 相互依存性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、提携・合弁・アウトソーシングといった組織間マネジメントに役立つ管理会計システムを解明することにあった。なかでも本研究は、組織間の業務の相互依存性に着目するとともに、管理会計の役割や機能要件を探った。また本研究では、管理会計は、組織間連携に関わる戦略の実現を支援し、企業の提携能力を高める可能性があることを確かめている。本年度は、最終年度として、日本の製造業の新製品開発アライアンスを対象に実施したアンケート調査の報告書を作成し、アンケートの回答協力企業に送付した。この調査では、提携目標・結果に関する経営トップ-提携マネジャー間のインターラクション、予算達成状況などの組織間関係のモニタリングの頻度、摺り合わせ業務や開発分担・費用分担などの明確化などの相互依存性、そして学習や信頼などが、提携成果に影響を与える可能性があることなどを断片的ではあるが明らかにした。本アンケート調査以外では、中間組織を扱う管理会計との対比のために、内部組織化するM&Aの事例を追加的に調査した。そこでは、これまで相互依存性のなかった企業を買収し、その後の組織化で管理会計システムが利用される状況を観察した。これらの調査の知見として、M&Aと戦略的提携の双方ともに、業務の相互依存性だけでなく、事業再編後の戦略相互依存性や各組織の意思決定の自律性をバランスさせるために管理会計が一定の役割を果たすことが推測できた。さらに、これまでの研究では製造業を対象にしてきたため、小売業に目を向け、相互依存性の管理の必要性と組織間管理会計システムの果たす役割に相違がないかについても検討した。以上の調査を通じて、組織間管理会計研究のさらなる展開に繋がるように課題を整理した。
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Research Products
(5 results)