2010 Fiscal Year Annual Research Report
不登校の居場所づくりにみる現代のコミュニティ形成-シカゴ学派社会学からの接近
Project/Area Number |
20730330
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高山 龍太郎 富山大学, 経済学部, 准教授 (00313586)
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Keywords | 不登校 / 居場所 / コミュニティ / シカゴ学派 / 社会的統合 / ひきこもり |
Research Abstract |
「ありのままで居られること」を目指す不登校の居場所は、「他律的な場である学校で自信を失った子どもが自律性を回復する場」と位置づけられる。こうした自律性とは、「自分の人生を生きている」という感覚のことであり、これまでも自己肯定感などの言葉で表されてきた。居場所における自律性の回復には、以下の4段階が考えられる。不登校の苦しみは、「大人によって設定された他律的な目標の達成を求められていながら、それを実現できないために自己を否定する」という期待水準と実現水準の不一致(アノミー)にある。したがって、第1段階は、「学校に行くという大人が定めた目標を無効化し、目標達成できていない自己を肯定する」となる。そのために居場所は世間的な価値観から隔絶されている必要があり、そうした空間に引きこもることで十分に休息することが推奨される。第2段階は、「何かに夢中になって、『うれしい・たのしい・おいしい』などの肯定的な感情を仲間と共有する」である。その具体的な活動は、自己目的的な「遊び」である。第3段階は、「子ども自らが目標を設定し、その実現に向けて努力する」である。発表会に向けて自分の好きな音楽や演劇の練習をすることが、その代表例になる。第4段階は、「自分たちの居場所の維持・運営に携わる」である。具体的には、ミーティングに参加して、日常の活動やイベントを企画したり、皆がすごしやすいようにルールづくりをおこなったり、経営に参画したりすることなどが該当する。これらの4段階は、同時並行におこなうことが難しい。そのため、空間や時間で区分けをおこなったり、自由参加にしたりして、調整している。また、居場所、フリースペース、フリースクール、デモクラティックスクールなどの呼び方は、この4段階のどこに力点があるかを反映している。
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Research Products
(2 results)