2008 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者歩行時の聴覚錯誤による事故の防止に関する研究
Project/Area Number |
20730371
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 信行 Hachinohe Institute of Technology, 感性デザイン学部, 助教 (30433478)
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Keywords | 福祉 / 視覚障害者 / 歩行 / 聴覚 / 錯誤 / 事故防止 |
Research Abstract |
本研究は、視覚障害者の歩行を対象として、聴覚錯誤による事故発生の要因を明らかにし、その防止策を提案することを目的として進めているが、今年度は特に、駅プラットホームからの転落事故が絶えないこともあり、鉄道駅の音響測定調査や実験室における歩行実験などで得た成果を報告する。 今年度は鉄道駅より協力を得て、駅プラットホームでの空間音響特性や列車通過音など、様々な音響測定を実施することができた。視覚障害者が鉄道駅ホームを歩行していることを想定した実測調査であるため、ダミーヘッドマイクロホン(以下、ダミーヘッド)を歩行速度と同様に移動して測定した。そのため、移動体は移動の際に車輪の音などが発生しないことや、ダミーヘッド本体と測定機材を登載できることが条件となる。そこで、音響測定には車いすを利用した。測定に必要な装置の電源などは、ポータブルバッテリーを使用して確保した。今回、利用した測定システムは、身長が約150cmであった。音響測定調査の結果、調査した駅プラットホームはかなりの残響時間があり、視覚障害者にとってはアナウンス音の聞き取りや空間把握に多少なりとも影響があることが分かった。また、列車通過時には100dB以上の騒音値を確認できたことから、歩行には影響があることが予測される。また、駅プラットホームで収録した列車通過音などの音響データを利用して、晴眼者による実験室での歩行実験を実施した。11名の被験者に協力を得て、アナウンス放送時や列車通過時など、様々な音響環境下で歩行し、被験者のほとんどが、列車通過時には通常の歩行状況と異なる影響が出ていた。今後も、音響測定調査や歩行実験を繰り返し行ない、事故防止策について研究を進めていく。
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