2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者歩行時の聴覚錯誤による事故の防止に関する研究
Project/Area Number |
20730371
|
Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 講師 (30433478)
|
Keywords | 福祉 / 視覚障害者 / 歩行 / 聴覚 / 錯誤 / 事故防止 |
Research Abstract |
本研究は、視覚障害者の歩行を対象として、聴覚錯誤による事故発生の要因を明らかにし、その防止策を提案することを目的として進めてきた。本年度の研究実施計画としては、視覚障害者歩行時の移動音源の同定に関する研究として、昨年度まで、駅プラットホーム上で測定したダミーヘッドマイクロホンにより収録した音場データをもとにして、晴眼者による歩行実験を予備的に実施してきたが、聴覚錯誤の正確なメカニズム解明には至らなかったこともあり、本年度の計画上は、実験室における聴感実験を実施し、聴覚錯誤のメカニズムを解明するために固定音源及び移動音源を使用した聴感実験を通して、聴覚錯誤を明らかにしていくことを目的とした。本年度の研究実績の中で工夫した点は、聴感実験のための音源の同定に関する実験の設備を構築したことである。実験にはデジタルミキサーを使用し、スピーカー8chから交互またはランダムに音を発生させるシステムの構築をした。このシステムを利用して、被験者に音源の位置を示してもらう予備的な実験を行った。固定音源(音源にはホワイトノイズを使用)を利用した実験では、実際の音源と被験者が認知した音源の位置とはどの程度方向誤差が生じるかを観察した。被験者の周りに円を描くようにスピーカーを8個配置し、音をランダムに発生させて聴感できた位置と実際の音源の位置について方向誤差を計測した。聴感実験の結果、180°の誤差が生じた被験者が数名おり、聴覚錯誤が発生していることが確認できた。本年度は移動音源に関する実験やメカニズムの解明までには至らなかったものの、聴覚錯誤の事象を確認することができた。今後、更に実験を繰り返し行い、メカニズムの解明をして事故の防止策を提案していきたい。
|