2008 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者施設と地域との良好な関係形成に向けた施設コンフリクトの実証的研究
Project/Area Number |
20730390
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
野村 恭代 Tezukayama University, 心理福祉学部, 講師 (10461188)
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Keywords | 地域福祉・コミュニティソーシャルワーク / 施設コンフリクト / 合意形成 / 精神保健福祉 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、施設コンフリクト発生が大きい地域と施設コンフリクト発生が小さい地域の外部環境を明らかにすることである。具体的には、これまでに取り上げられることのなかった精神障害者施設と地域とのかかわりについて取り上げ、施設コンフリクトの発生事由について、地域の社会文化的要因の関与を明らかにする。そのために、2箇所の具体的地域を取り上げ、施設コンフリクトにかかわる地域間の社会的要因について比較する。2箇所の地域について言及すると、一箇所は未だ全国で唯一精神保健福祉士協会の支部が立ち上がっていない、他県よりも精神保健に遅れが認められる奈良県、もう一箇所は、精神障害者に対し、他では見られない独特な処遇を行ってきた沖縄県である。その特徴的な2箇所を比較することにより、精神障害者施設や精神障害者が地域住民と良好な関係を築いていくための条件や可能性について解明することを試みる。 上記の目的に基づき、平成20年度より科学研究費補助金による調査、研究を開始した。昨年度は、全国精神障害者社会復帰施設協会の協会名簿を基に、小規模通所授産施設も含めた奈良県および沖縄県のすべての精神障害者施設に対しアンケート調査を実施した。アンケート調査の回収結果は、発送数87(沖縄県50、奈良県37)、回収数50(沖縄県22、奈良県28)、回収率57.5%(沖縄県44%、奈良県75.7%)、また、施設コンフリクト発生率は、沖縄県31.8%、奈良県32.1%であった。 平成21年度は、両県における精神障害者施設のうち、地域との関係が良好な施設および施設コンフリクト発生の状態にある施設および施設のある地域に居住する住民に対しインタビューを実施すると同時に、さらに他の地域においてもアンケート調査を実施する予定である。また、平成20年度の調査結果について、学会等での研究発表も予定している。
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