2008 Fiscal Year Annual Research Report
夜勤中の仮眠直後に生じる睡眠慣性がエラー反応後の認知的処理に及ぼす影響
Project/Area Number |
20730401
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
浅岡 章一 Fukushima University, 共生システム理工学類, 研究員 (80386656)
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Keywords | 事象関連電位 / 睡眠 / 交代制勤務 / 仮眠 / エラーモニタリング |
Research Abstract |
これまでに, 夜勤中の仮眠には夜勤従事者の眠気を低減させ, エラーの発生を抑制する効果があると報告されている. しかし, 仮眠からの起床直後には, 睡眠慣性とよばれる眠気が残る状態が生じ, 一時的に認知機能が低下することも報告されている. 事故の防止という観点から考えると, エラーの発生自体を減らすことともに, 自らの犯したエラーに気づきエラーを修正することで, 被害を最小限にとどめることも重要である. そこで, 本研究では課題中のエラー反応の検出(エラーへの気づき)を反映するERN(Error-Related Negativity)と, エラー反応に対する詳細な評価過程を反映するPe(error Positivity)という二つの事象関連電位を用いて, 深夜帯の仮眠と起床直後の睡眠慣性がエラー反応に対する認知的処理に与える影響を検討した. 被験者には, 深夜1 : 00から1時間の仮眠をとらせた後, 仮眠からの起床直後(2 : 00〜)と起床1時間後(3 : 00〜)から, それぞれ30分の認知課題を遂行させた. 起床直後と起床1時間後から実施した課題中のERN, Peの振幅を高覚醒時(21 : 00〜)に実施した課題中のものと比較した結果, 高覚醒時と比較して起床直後のERN, Pe振幅に違いは認められなかったものの, 起床1時間後においては, Pe振幅が低下する傾向にあった. この結果は, エラーモニタリング機能に与える深夜帯の仮眠直後に生じる睡眠慣性の影響は大きくないことを示しているが, 1時間の仮眠をとっても, 朝方にはエラー反応に対する詳細な評価過程が阻害されていることも示しており, 朝方の時間帯におけるエラーの過小評価や, エラーへの対応行動の遅れにつながると推測される.
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Research Products
(2 results)