2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730406
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
小城 英子 University of the Sacred Heart, 文学部, 講師 (60439510)
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Keywords | 不思議現象 / 態度 / マス・コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究では、不思議現象とマス・コミュニケーションに焦点を当て、不思議現象を提供するメディアが受け手の認知に与える影響を検証した。 第1の実態把握のための調査では、不思議現象を扱った具体的なテレビ番組の内容分析を行い、提示されるコンテクストや構成を分析した。次に、大学生女子を対象として、同じ番組を視聴させ、評価を自由記述で求めた。その結果、視聴者は、信頼性の低い番組に対しては批判的で評価が低かったが、不思議現象が不可視である場合や、番組の目的に社会的効用が認められる場合には不思議現象を容認する傾向が認められた。しかし、個人差も大きく、特に後者のタイプの番組では、信奉的な態度と懐疑的な態度に二極化する傾向があった。同時に、視聴者の中にテレビ全体やバラエティ番組に対する懐疑的態度が強固で、常に捏造や情報操作の可能性を疑っていることや、それさえも楽しむ視聴態度があることも示された。もともとテレビに対して有している既存の態度によってテレビからの影響が異なることが示唆されたことから、「テレビに対する態度」作成のために、大学生を対象とした予備調査を経て、尺度の信頼性と妥当性確保のために、より多様な年齢層へと広げたweb調査を行った。その結果、「テレビに対する態度」は、「疑似的コミュニケーション」「習慣的視聴」「情報収集」「選択的視聴」「テレビへの懐疑」「エンターテイメント性希求」の6因子構造と判断された。また、テレビに対する態度によって嗜好する番組ジャンルや、テレビからの影響が異なることも示唆された。 先行研究ではマス・メディア接触は視聴時間や番組ジャンルのみで測定されており、結果も研究によって異なっていたが、本研究の知見から、「何を」「どのくらいの時間」視聴しているかよりも、「どのような態度で」視聴しているかの方が、テレビ視聴と不思議現象に対する態度との関連を説明しうると考えられる。
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