2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730406
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
小城 英子 聖心女子大学, 文学部, 講師 (60439510)
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Keywords | 不思議現象 / メディア / 態度 |
Research Abstract |
平成22年度は、前年度までの研究を基盤に、テレビ番組の視聴によって、不思議現象に対する態度が変容すること、また、その変容の程度や方向性は、視聴者の事前態度によって異なることを、パネル実験によって検証した。実験刺激となったテレビ番組は、予備調査において視聴者の評価が信奉的態度と懐疑的態度に二極化する傾向の見られた「オーラの泉」であった。平成22年4月に不思議現象に対する態度(APPle=Attitudes towards Paranormal Phenomena Scale)の事前態度を測定し、6月に同じパネルに番組を視聴してもらい、直後に同じくAPPleを測定した。なお、事前態度の得点パターンによって、一般層、不思議現象信奉層、懐疑層、娯楽的享受層に分類し、層別にAPPleの変化を分析した。その結果、信奉層においては、番組視聴後、占いや呪術を嗜好する態度や、不思議現象を娯楽として楽しむ態度、不思議現象を恐れる態度が低下、元から強いスピリチュアルなものを信奉する傾向だけが残り、さらに、不思議現象に対する警戒心が薄れる傾向が見られた。一方、懐疑層においては、懐疑的な態度は変わらないものの、占いや娯楽的要素を含めた不思議現象全般に対して、やや肯定的な方向へと態度が変容する傾向が認められた。これらのことから、不思議現象を扱ったテレビ番組は、視聴者に対して、番組の提示する方向へ態度を変容させる効果を持っていること、その効果は、元から否定的な態度の視聴者に対しては不思議現象全般に、元から肯定的な態度の視聴者には、より番組のテーマに焦点を絞った側面で顕著に見られることが明らかになった。今後は、不思議現象を娯楽的に扱った番組や科学的に解明した番組など、テーマの異なる題材を用いて、本研究の知見を検証していくことが求められる。
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