2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730495
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 正連 Nagoya University, 教育発達科学研究科, 准教授 (60447810)
|
Keywords | 通俗教育 / 社会教育 / 大韓帝国末期 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで韓国の社会教育研究において認識されてこなかった通俗教育に関する考察を通して、近代韓国における通俗教育の導入過程及びその実態を明らかにすることである。通俗教育は、明治20年代から1921年まで日本において行政用語として使われていたが、近代史における日韓の関係を考えれば、同時期に日本の通俗教育が韓国に導入された可能性も看過できない。韓国における通俗教育の導入やその実態を明らかにすることは、韓国の社会教育史だけではなく、日本の社会教育史をより多角的・総体的にとらえる上でも重要な作業と思われる。 平成21年度は、前年度の研究を補う作業とともに、通俗教育の導入過程における日本との関わりを明らかにしようと試みた。 まず、研究を進める中、韓国における通俗教育に関する管轄部局の組織改編についての新たな史料が発掘できた。通俗教育は、1907年12月13日に学務局の管掌事務として登場してからまもなく組織改編が行われるが、報告者はこれまでの研究でその時期は1909年1月1日といってきた。しかし、新たな史料によれば、その前の1908年1月の組織改編により第1課と第2課に分かれ、通俗教育は第2課の業務となるが、まもなく再改正され、1909年1月1日から、通俗教育が第1課の業務となっていたのである。 一方、最も早い時期に韓国の社会教育について言及をしていた東邦協会の場合は、それ以上の史料が発掘できず、東邦協会を通しての考察はできなかった。しかし、1908年6月22日に制定された「学務委員規程準則」は、明治12年教育令によって初めて設けられた日本の学務委員制度にその目的(就学督励)から酷似しており、また就学督励は当時の通俗教育の主な目的でもあったという面から、大韓帝国末期の通俗教育制度における日本からの影響は大きかったと十分推測できる。
|
Research Products
(1 results)