2009 Fiscal Year Annual Research Report
美術館と公共性に関する研究-美術館建築による開放性の創出に着目して-
Project/Area Number |
20730514
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤澤 まどか Waseda University, 教育・総合科学学術院, 講師 (90454008)
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Keywords | 美術館 / 博物館 / 社会教育 / 生涯学習 / 公共性 / 開放性 / 美術館建築 |
Research Abstract |
本研究では、美術館と公共性の関わりについて、美術館建築による開放性の創出に着目しながら考察することを目的とする。 本年度は、前年度の研究成果を基礎としながら、美術館建築が持つ社会的影響について、美術館の公共性の保障に留意しつつ、美術館の基礎的活動と照らし合わせて記憶と継承の観点から理論的に考察した。特に、美術館建築と美術館活動のつながりについて分析するとともに、美術館建築のランドマークとしての機能に着目し、公共性とどのように関与しているのかを明示した。また、美術館建築が風景の一部として位置付けられることで生じる作用についても考察し、周辺地域・地域住民と関係を結ぶ重要性に加えて、その関係によって開放性の創出に寄与する点を明らかにした。 次に、美術館建築による開放性の創出について分析する具体的な視点として、本年度は、美術館内部と外部の交差に関して、特に、美術館内部と外部の相互浸透について、周辺環境との連関に注目しながら考察した。そのさい、ナッシャー彫刻センター(Nasher Sculpture Center)やフォートワース現代美術館(Modern Art Museum of Fort Worth)、地中美術館、群馬県立館林美術館等の事例調査を実施し、美術館と周辺環境の関係、美術館内部と外部の相互浸透をもたらす要因、美術館建築のあり方を分析した。特に、美術館内部と外部の相互浸透に関して、景観として周辺環境を認識することや作品と周辺環境との関わり、美術館内部と外部の行き来による作用が影響していることを明らかにした。また、美術館内部と外部の相互浸透に留意することによって、広がりのある視点を獲得し、それを美術館活動に反映させることで開放的な空間の創出に貢献する可能性を指摘した。 以上の研究成果については、論文や学会発表の形で公表を行った。
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Research Products
(3 results)