2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後教育改革期の数学教育における「数学的な考え方」の萌芽と発展に関する研究
Project/Area Number |
20730549
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
蒔苗 直道 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (40345939)
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Keywords | 戦後教育改革 / 数学教育 / 数学的な考え方 |
Research Abstract |
乗除数が分数の場合の乗除法に関する意味指導が, 戦後教育改革期においてどのように考えられていたのかを明らかにした。乗除法の意味指導は,戦後の「数学的な考え方」において強調された内容であり, 現在の数学教育においても重要視されている。本研究は, この萌芽と発展に着目した研究である。 乗除法の意味指導については, 戦前の国定教科書『尋常小学算術書』『高等小学算術書』『尋常小学算術』『カズノホン』『初等科算数』においても, 単なる計算方法の習得ではなく立式の意味を考える指導への変遷を見ることができる。戦後教育改革期の分数の乗除法の指導では, 戦前, 戦中に比べて, 教育課程上の指導学年の変更や指導内容の記述に違いを見ることができる。そして, 割合を基にした分数の乗除の意味づけがされているのが特徴である。 ここでは, 比の三用法が強調され,比の第二用法との関連で乗法の意味が説明され,比の第一用法と第三用法から除法の意味が説明されている。こうした「数学的な考え方」を通して, 整数から小数, 分数の場合へと乗除法を拡張することがねらわれている。また, 実際の教科書における展開にも, この考え方を反映した教材を見ることができる。割合の学習において, 分数の乗除法の計算の意味と方法を考える教材がこの例として挙げられる。 こうした史実は, 戦前・戦中の分数の乗除の指導の変遷における改善点が, 戦後教育改革期を経て,戦後にも継承されていたことを示すものである。
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Research Products
(1 results)