2008 Fiscal Year Annual Research Report
最小軌跡による基本領域を用いた3次元双曲錐多様体の変形空間の解析
Project/Area Number |
20740043
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
秋吉 宏尚 Kinki University, 理工学部, 准教授 (80397611)
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Keywords | 幾何学 / トポロジー |
Research Abstract |
穴あきトーラス上の1点で微小な錐角を持つ錐特異点つき曲面と開区間の直積により得られる3次元錐多様体の双曲構造を, 穴あきトーラス群(交換子積が放物的変換であるような階数2の自由クライン群)を代数的かつ幾何的に微小変形することにより放物的変換を楕円的変換へと変形することにより構成することができる. いくつかの具体例に対してこの双曲錐多様体の最小軌跡による基本多面体の全測地的近似の候補を構成した. サーストンによる双曲デーン手術理論において用いられる双曲構造の完備性を崩した変形に対する考察は, この種の微小変形へも応用できるので, これまでに見つけることのできた具体例の持つ性質をさらに詳しく観察することにより, 任意の穴あきトーラス群から錐角の微小変形により得られる双曲錐多様体の最小軌跡による基本多面体の全測地的近似の候補も構成できると期待される. これまでに見つけた候補は, 変形前の穴あきトーラス群のフォード領域の微小変形として構成されるが, その構成法からは錐角の変形が大きくなった時にも同様の手法を用いることができるのかどうかわからない. そこで今年度購入したワークステーションを用い, 全測地的近似の候補が実際にどの程度まで変形可能なのかを探るための数値実験を開始した. この具体例に対する研究と並行して, 双曲錐多様体の錐特異集合に関する最小軌跡が持つ一般的性質を探るため, 空間内に配置された測地線たちからの等距離面の考察も進めている.
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