2010 Fiscal Year Annual Research Report
軌道体の枠付き同境類不変量とその3次元多様体の同境圏への応用
Project/Area Number |
20740048
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
福本 善洋 立命館大学, 理工学部, 准教授 (90341073)
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Keywords | 3次元多様体 / 同境圏 / ホモロジー同境 / bounding genus / Seiberg-Witten理論 / V-多様体 / 指数定理 / 非結合代数 |
Research Abstract |
本研究の目的は,軌道体上の場の方程式の族に対する枠付き同境類不変量の定式化を行い,3次元多様体の同境圏の構造を解明するための枠組みを確立することにある.本研究では,特に(1)w-不変量と交叉積を用いた3次元多様体の同境圏の構造の解析,(2)相互法則による符号数不足指数型不変量の組織的研究,(3)場の方程式の族の有限次元近似と枠付き同境類不変量の構成を目標とする.2010年度の研究では,特に符号数不足指数型不変量の同境圏における挙動の解析に取り組み,以下の結果を得た. 1)Φ-bounding genusの定式化 3次元多様体の同境圏C_3から次数付き可換環の圏L_3への関手ΦのΦ-bounding genusの定式化において,a)境界付き4次元V多様体上の相対輪体の形式的な交叉積,および非結合代数A_*の導入,b)3次元多様体上の輪体の組とその偶奇性に関する境界条件の設定を行い,c)同境の合成に関する広義の劣加法性,d)古田-亀谷-不等式を用いたw-不変量による一般化された下界公式を導出した. 2)ホモロジー同境圏への制限 上記の枠組みをホモロジー同境圏C_3^Hおよび代数的な部分圏L_3^Hに制限し,Φ-bounding genusのホモロジー同境不変性を証明した.これにより,ホモロジー同境が誘導する基本群のべき零商の同型との対応,形式的交叉積とMassay積との類似性,非結合代数A_*の構造を調べる手法が得られるものと期待される. 3)Φ-bounding genusの高次元化 上記の関手Φ,および非結合代数A_*の構成の一般次元への拡張を行った.これによりΦ-bounding genusの高次元化,並びに8k+3次元の符号数不足指数型不変量との関係が考察できると期待される. 場の方程式の族の有限次元近似と枠付き同境類不変量の構成においては,上記の一連の考察を踏まえ,w-不変量のホモロジー同境不変性の機構を詳細に考察することにより,古田幹雄氏による非線形Fredholm理論のPontrjagin-Thom構成の一般化の枠組みを用いて,Φ-bounding genusを深化させ,これを理解することが今後の課題である.
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