2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物胚の体軸形成過程における個体ゆらぎを含む反応拡散型システムの数理解析
Project/Area Number |
20740058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中口 悦史 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (70304011)
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Keywords | 応用数学 / 数理生物学 / 反応拡散系 / 個体ゆらぎ / モデル化 / 非線形力学系 |
Research Abstract |
本年度も引き続き,マウス胚の発生過程の個体ゆらぎを考慮した反応拡散型モデルの可能性を探った。大阪大学生命機能研究科・濱田博司教授,同・中村哲也助教らとともに,彼らのマウス実験と連動しながら,データ解析,現象の理解と,ゆらぎのモデル化の可能性について議論を重ねた。携帯形成過程における個体ゆらぎの制御について,東京医科歯科大学教養部・服部淳彦教授とも意見交換した。大阪大学情報科学研究科・八木厚志教授,関西学院大学理工学部・大崎浩一准教授らと情報交換を重ね,個体ゆらぎを含む反応拡散型モデルの構築と理論解析,計算機による数値実験を行った。しかしこれらの成果を纏めるにはもうしばらく時間が掛かりそうである。 形態形成過程ダイナミクスに関連して,走化性・増殖方程式の解の時間大域的存在に対する方程式の指数等の条件について,前出の大崎准教授と,ドイツ・デュイスブルク・エッセン大学・M.Winkler教授と共同研究を進めた。線形の走化性感応関数を持つ方程式について,個体増殖・減衰項,誘引因子分泌項の次数のバランスを調べ,個体増殖・減衰が誘引因子分泌より強い場合に,時間大域解を有することを示した。その成果はNonlinear Analysis誌に公表し,あわせて日本数学会年会,神楽坂解析セミナー等で口頭発表した。今後は,方程式が生成する無限次元力学系に対してこの各項のバランスがどのように影響を与えるかを,検討する予定である。
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