2008 Fiscal Year Annual Research Report
変分構造をもつ幾何学的時間発展方程式の解の挙動に関する研究
Project/Area Number |
20740086
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高坂 良史 Muroran Institute of Technology, 工学部, 准教授 (00360967)
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Keywords | 表面拡散方程式 / 平均曲率一定曲面 / Willmore流方程式 / 境界付き超曲面 |
Research Abstract |
本年度は表面拡散方程式による回転面の挙動に関する研究を行った。表面拡散方程式に対する定常解は平均曲率一定曲面となるが、ノイマン型の境界条件の下で回転面について考えた場合、定常解は半球面・円柱・アンデュロイドのいずれかになる。これらの定常解の安定性についてはAthanassenasやVogelによる研究結果があり、半球面及びある条件下での円柱が安定であることが知られている。本年度はこれらの安定な定常解の周りでの表面拡散方程式による境界付き超曲面の挙動を解析するため、リッチ曲率流に関するHamiltonの論文、平均曲率流に関するHuiskenの論文、及びWillmore流に関するKuwert&Schatzleの論文等を調べ、それらの論文で利用されている解析法を表面拡散方程式による境界付き超曲面の挙動の解析に適用することを試みた。表面拡散方程式は空間に関する微分が4階の発展方程式であるが、HamiltonやHuiskenの論文では空間に関する微分が2階の発展方程式を解析しているため、HamiltonやHuiskenの手法を4階の発展方程式の場合に拡張する必要性が生じた。さらに、Kuwert&Schatzleの論文は4階の発展方程式であるWillmore流方程式を解析しているが、(境界がない)閉曲面の場合を解析しているため、Kuwert&Schatzleの手法を境界付き超曲面の場合に拡張する必要性が生じた。これらの必要性を踏まえ、本年度は平均曲率や第2基本計量等に対する評価式を得るための基礎となるそれらの量に対する4階の発展方程式を導出した。本年度に得た基礎計算の結果は、表面拡散方程式またはWillmore流方程式によって挙動が支配される境界付き超曲面に対して時間大域解の存在や特異点の挙動に関する研究を進める場合に、礎となるものである。
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