2011 Fiscal Year Annual Research Report
変分構造をもつ幾何学的時間発展方程式の解の挙動に関する研究
Project/Area Number |
20740086
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高坂 良史 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00360967)
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Keywords | 表面拡散方程式 / 曲率流方程式 / 3相境界 / 分岐解析 |
Research Abstract |
本年度は、幾何学的発展方程式である表面拡散方程式による3重結節点をもつ3曲線の有界領域における挙動に関して研究を行った。表面拡散方程式による曲線の動きはその曲線によって囲まれた部分の面積を保ちながら長さを最小にする方向に動くという変分構造をもつ。表面拡散方程式による3重結節点をもつ3曲線の挙動の解析は、Garcke-Ito-Kohsaka(2010)によって定常曲線の線形安定性の解析が行われている。そこでは定常曲線と有界領域の境界との交点における有界領域の境界の曲率をパラメータとして定常曲線の線形安定性の判定基準が導出されている。その判定基準の導出に際しては対応する固有値問題の解析が行われており、判定基準は最大固有値が0となるときの条件が相当する。この結果から、着目しているパラメータ(有界領域の境界の曲率)を判定基準となる集合(曲面をなす)の近傍で動かしたとき、動かし方に応じて定常解が何らかの分岐を起こすことが期待される。実際、曲線の長さを最小にする方向に曲線を動かすという変分構造をもつ曲率流方程式による挙動に関しては分岐が起こることがNii(2009)によって示されている。そこで、Niiの解析方法とその結果を検討し、表面拡散方程式の場合に適応することを試みた。しかし、Niiによる方法は円周角の定理を基にした図形的なものであり、表面拡散方程式の場合は図形的な構造が明らかでなくその方法は適応できなかったため、0-固有値に対応する固有関数の解析をMaple(ver.15)を援用して行った。そこで、まずは曲率流方程式の場合に関して0-固有値に対応する固有関数の解析を行い、Niiの結果を図形的にではなく解析的に明らかにした。その後、表面拡散方程式の場合に関して固有関数を導出し解析を行っているが、その固有関数が示す幾何構造が明らかではなく、今後の検討課題となっている。
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