2008 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ星形成には孤立的と集団的の2つのモードがあるのか?
Project/Area Number |
20740113
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
古屋 玲 National Astronomical Observatory of Japan, ハワイ観測所, 研究員 (60455201)
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Keywords | 星形成 / 分子雲 / 重力収縮 / 環境条件 / クラスター / 電波天文学 / 赤外線天文学 |
Research Abstract |
きわめて若い進化段階にあるさまざまな質量の(原始)星周囲の環境を調べることによって「なぜ、星形成には孤立的と集団的の2つのモードがあるのか?」に迫ることが本研究の究極の目標である。初年度は分子流の駆動に至らないほど極めて若い進化段階にある小質量原始星、GF9-2の母体の高密度ガス雲の物理状態を調べ、分子雲コアの重力収縮は準静的に進むのではなく、暴走的に進むことを明らかにした(Furuya, et.al. 2009, ApJ692, L96)。このような原始星が形成される分子雲の環境条件を探るために、上述の原始星を含む、母体のフィラメント状分子雲(GF9)の分裂の様子も調べた。この結果、同分子雲で進行する分裂過程は重力的不安定性と乱流の散逸によって引き起こされたこともわかった(Furuya, et.al. 2008b, PASJ60, 421)。共同研究者との議論及び赤外線天文衛星「あかり」で取得したデータの解析のため、宇宙科学研究本部への出張を行った。本研究のもうひとつの柱である、大質量(原始)星形成の初期段階を探る研究も一定の成果を挙げつつある。大質量星は集団的に誕生することで知られるが、集団を構成する星の数、その分布、個々の星の明るさを知ることは、大質量かつ高密度の分子ガス塊の分裂と進化の歴史を探る上で基本となる。このため、「すばる」望遠鏡と米国国立電波天文台の超大型干渉計を用いた小サーベイを行った。このようにデータを集中的に取得しただけでなく、Arcetri天文台(イタリア)で共同解析にも着手した。一連のデータの解析を完結させ、「大質量星形成にとってクラスター形成が本質的か?」に迫る突破口を拓くことが2年次の大きなタスクとなる。
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