2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 洋介 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60443983)
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Keywords | 宇宙物理 / 一般相対性理論 / 運動方程式 / 重力波 / 相対論的連星系 |
Research Abstract |
アインシュタインの一般相対性理論が予言した重力波は、いまだ直接検出がなされていない。現在世界各地で稼動中・計画中の重力波検出器にとって、最も有望な重力波源は合体直前の状態にある相対論的連星系である。しかし、相対論的連星系からの重力波を検出し、系の物理量を精度よく決定するためには、系の運動を支配する運動方程式を高精度で求める必要がある。特に面白い観測対象は遠方銀河の中心などに存在すると考えられている超巨大ブラックホールである。このような超巨大ブラックホールの回りを星質量程度のブラックホールが運動すると重力波を放出する。その重力波をESA/NASAの将来計画である宇宙重力波観測器LISAによって観測すると、超巨大ブラックホールの周囲の時空構造が詳細に研究されると期待されている。重力波観測のためには事前に重力波波形を理論的に予測する必要があるが、そのためにはブラックホールの運動を詳細に知っておく必要がある。観測した重力波からブラックホール時空の構造を決めるパラメータ(質量、スピンなど)を決定するためには、運動を予測できていなければならない。この目的のため、平成20年度はアイルランド・ダブリン大学のPeter Hogan教授、東北大学の二間瀬教授、私で、一般相対論に基づいて、大質量比ブラックホール連星系の運動方程式の導出をおこなった。本研究では、ブラックホールによる背景時空の摂動という方法を用いることにより、重力場が発散するために従来数学的に厳密な取り扱いが難しかったブラックホールの軌道運動の記述に成功した。本研究の成果は論文としてPhysical Review D誌に投稿、発表した。
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Research Products
(4 results)