2008 Fiscal Year Annual Research Report
二次元炭素系物質グラフェンにおける局在と量子ホール効果
Project/Area Number |
20740167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 健太郎 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (00455776)
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Keywords | 量子輸送現象 / 局在 / 電子相関 / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は近年新たに発見された二次元炭素系物質グラフェンにおける量子輸送現象、特に局在と量子ホール効果に関する新規現象の理論的解明である。量子ホール効果は強磁場中のアンダーソン局在の物理として理解される。通常の二次元電子系では弱磁場では全ての電子状態は局在して量子ホール効果は消失する。研究代表者はグラフェンでは弱磁場極限でも量子ホール状態が生じうることを質量ゼロ・ディラック粒子模型に基づき理論的に示した。磁場の強さに依らず、ゼロドープの電荷中性点では常に異なる量子ホール相間の臨界点である。さらに皺のあるグラフェン試料では皺の効果がランダム磁場として記述されるが、このとき系では磁場が完全にOでも量子ホール臨界点のユニバーサリティーで記述される事を示したこれによって長年の課題であった温度に依らない最小伝導度の性質を説明する事ができた。 一層、および二層グラフェンにける強磁場の極限では相関効果が重要になり、分数量子ホール効果に代表される、顕著な多体効果がされる。さらにスピン・バンド谷・副格子などの内部自由度が相関効果で秩序を持つ、量子ホール擬スピン強磁性状態にかんする理論的研究を行い、その実現条件、ギャップの評価および、低エネルギー分散を調べた。
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