2009 Fiscal Year Annual Research Report
二次元炭素系物質グラフェンにおける局在と量子ホール効果
Project/Area Number |
20740167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 健太郎 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (00455776)
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Keywords | アンダーソン局在 / 量子ホール効果 / グラフェン |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、グラフェンを中心とするディラック粒子系の量子輸送現象の理論的研究に従事した。今年度はとくに相関効果を考慮に入れて、磁場中の特異な輸送特性を解析した。強磁場中では電子間の交換相互作用の効果で多彩な対称性の破れた相の出現が起こりうる。中でもグラフェンを構成する蜂の巣格子が二量体化したケクレ状態とそこからの渦型励起の予言を行った。この励起渦は電荷を担い輸送現象に寄与する。ところが低温強磁場では渦と反渦が束縛相を形成し、強絶縁相へ転移することを自己無撞着ハートリー・フォック理論に基づく数値シュミレーションにより解析した。現在この結果はプリンスト大グループの実験結果を定量的に説明する唯一の理論である。分数量子ホール状態の可能性をギャップの詳細な計算に基づき解析した。グラフェンは通常の二次元電子系よりも大きい分数量子ホールギャップを持つ事を明らかにした。この効果は最近二つの実験グループにより観測され注目を集めている。ゼロ磁場の輸送現象に関しては昨年度までは一つのバレーの効果に注目して解析を行ってきたが、今年度はバレー間散乱、トポロジカル質量項、外因的スピン軌道相互作用の効果を系統的に調べ、伝導率の量子補正を計算した。これによって起こりうるすべてのパラメータ領域の解析が完成した。この結果は最近注目を集めているトポロジカル絶縁体にも適用できる。実際ドープした金属領域では多彩な量子効果が輸送現象で見られる事が示された。
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Research Products
(7 results)